社会人になると、若い人から年配まで幅広い人たちとお付き合いするようになります。もちろん全員に名前があります。社会人になった誰もが、お客さんや先輩の顔と名前を早く覚えようとするでしょう。でも名前(苗字)を呼ぶことはできるようになったとしても、文字にするときには落とし穴が待っているので要注意、という話をします。
なおここに書いていることは、私の経験に基づくもので、統計的・科学的な検証をしたものではありません。例外もたくさんおられるでしょう。気を悪くされたらごめんなさい。
こだわり派! サイトウさんとワタナベさん
私が子供の頃は、サイトウさんといえば例外なく皆『斉藤さん』でした。でも大人になると、『斎藤さん』とか『齋藤さん』、『齊藤さん』といった方々が登場します。思うに、子供の頃は漢字が難しくて書けないこともあり『斉藤さん』で妥協していたのでしょう。
おそらく大人になって難しい漢字を使うことへの抵抗感が減ったり、パソコンを使うようになって難しい漢字でも苦にならないことから正式な名称の漢字を使っているのでしょう。
そうだとすると、スマホを使い慣れている小中学生は、妥協の年代をスキップして最初から『齋藤さん』を使っているのでしょうか。
『渡辺さん』も同様に、『渡邊さん』や『渡邉さん』が登場してきます。『渡部さん』も参戦してくるので、ちょっとややこしいですね。
寛容な人!ミヤザキさん
ミヤザキさんというと、『宮崎さん』が多いようです。でも『宮﨑さん』もいらっしゃいます。サキの漢字の右上のところが『大』か『立』かの違いですね。
しかし『宮﨑さん』は漢字のこだわりが少ない傾向があり、なんらならご自身でも『宮崎』と書くことがあります。よく見ないと気付かない程度の違いなので、あまり気にしないのでしょうか。
全然別人!カワイさん
カワイさんは、『川井さん』の他に『河井さん』や『河合さん』がいらっしゃいます。『斎藤さん』を『斉藤さん』と書いても、まぁ同一人物と認識できるでしょう。しかし、『河合さん』を『川井さん』と書いてしまうと、似ても似つかない別人になってしまいます。
これはもう略字とかいうレベルとは違います。明らかに誤字のレベルです。でも会議の席や電話など「カワイ」の音だけで聞いていると、どちらのカワイさんなのかわからないんですよね。
英語表記でも油断ならないのだ
これらの誤りやすい名前の表記は、漢字を用いる独特の文化によるものだ、と考えるのは早計です。名前を英語(ローマ字)で表記するときにも落とし穴があります。
例えば大山さんにふりがなを振ると「おおやま」なので、ヘボン式ローマ字表記では「ooyama」のはずですが、「oyama」とoを1個を省略して表記する人もいます。
また、安藤さんなど、「う」で終わる名字も表記の仕方が別れ、「andou」だったり「ando」だったりします。斉藤さんも同様です。サイトウさんは、漢字だけでなくローマ字でも鬼門ですね。
海外と取引きする会社に努めていれば、外国人を交えた会議に参加することもあるでしょう。ある程度仕事に慣れてくると、先輩から議事録の作成を任されるかもしれません。日本人側の参加者にアンドウさんやオオヤマさんがいるときは、名刺やメールアドレスの表記に合わせるように注意しましょう。
まとめ
人は、ひとりずつ名前を持っていて、名前がその人のアイデンティティになっています。自分の名前の好き嫌いはともかく、名前を間違えられたら気分は良くないですよね。しかもサイトウさんとワタナベさんは、ご自身の漢字表記にこだわりを持っていらっしゃる方が多い。「漢字が違います」と言ってくる人もいるし、言わないとしても不機嫌になる人が多い印象です。そのサイトウさんやワタナベさんが大切なお客様だったら、その後の関係が気まずくなってしまいます。だから『斉藤さん』と『斎藤さん』は間違えてはいけないんです。
人の名前を英単語を覚えるように丸暗記していると、上に述べた例のように全く別の漢字で書いてしまい、失礼になってしまいます。私は、機械的に名字の表記を暗記するのではなく、ご本人の顔を思い浮かべながら覚えるようにしています。
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